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放射線検査科

診療放射線技師(Radiological Technologist)

診療放射線技師は、医師が病気を診断するために画像情報を提供する検査を行います。医師や歯科医師の指示の下で、X線検査やCT、MRI、血管造影検査、核医学検査などの撮影装置を扱います。また、取り扱う放射線機器の管理や画像管理、被ばく管理も重要な業務となります。患者さんの医療安全の管理も担い、感染防止対策や医療事故防止対策なども行います。

業務紹介

CT検査

CT(Computed Tomography)検査は、X線を使って身体の断面を撮影する検査です。CTは身体の回りを360度検出し、透過したX線量の差をデータとして集め、コンピューターで処理することによって画像化します。1mm以下でデータを収集できるので、ワークステーションを用いて3D画像が構築できます。病気や臓器を立体的な画像として把握でき、特定の骨や臓器を見やすく色分けすることもできます。また、造影剤を使うと血管の走行が明瞭になり、血管の走行や、出血、炎症、腫瘍の状態が描出され、病状が詳しくわかるようになります。近年のコンピューターや技術の進歩により検査時間も短くなり、より患者さんの負担を軽減しています。

当院では2020年4月に最新の320 列CT 装置(Canon 製 Aquilion ONE PRISM Edition)を導入しました。このCT 装置の特徴として、0.5 ㎜× 320 列の面検出器を備えており、高速ヘリカルスキャンや最大16cm の範囲をX線管球1回転で、最短0.275 秒の速さで撮影することが可能となっています。冠動脈CTでは不整脈や高度石灰化のある患者さんにも柔軟に撮影できる機能を搭載しており、血管内腔の造影効果が均一な画像を得ることができます。

医療被ばく管理の観点からCT へのX 線被ばく対策機能の搭載は重要になっています。新装置には、少量のX 線量でも高画質を実現する逐次近似再構成(FIRST)や人工知能AI 技術を利用する深層学習(Deep Learning)の画像再構成(AiCE)が搭載されています。従来のCT 装置と比較して、胸部の場合、X 線被ばく量を約半分に近い値まで低減できています。

最新技術として、Dual Energy 解析を実現するSpectral Imaging System が搭載されています。この撮影モードでは一度のスキャンで2種類のエネルギーデータを収集することができ、物質弁別や仮想単色X 線画像の作成、アーチファクトの低減、コントラスト向上など様々な効果を得ることもできます。当院では以前より大腸CT 検査も行っています。3D 画像処理によって、大腸全体の走行や形状を把握できる注腸イメージ画像や腸管内のポリープや腫瘍を発見するための仮想内視鏡画像を得ることができます。

撮影例:

心臓CT(左冠動脈LAD)

左:通常 120kV画像 右:Bone Marrow Imaging

大腸CT(注腸イメージ)

大腸の仮想内視鏡

MRI検査

MRIとは(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像)の事です。 非常に強い磁石と電波を利用して、人体の様々な断面を撮像する検査です。頭部(脳、副鼻腔、口腔等)・脊椎・四肢・腹部領域(肝臓、膵臓、腎臓等)・骨盤腔(子宮、卵巣、前立腺、膀胱等)に生じた病変に関して優れた描出能を有しています。造影剤を使用しなくても頭頚部の血管(MRA)や胆道系(MRCP)の撮像が施行でき、さらに目的に応じた造影検査も可能です。

当院では2021年3月に最新型のMRI装置(PHILIPS製 Ingenia Ambition 1.5T)を導入しました。大きな特徴としては、新しく設計されたBlueSealマグネットの採用により、わずか7リットル(従来は約1500リットル)の液体ヘリウムで超電導を維持することが可能となり、ヘリウムフリーを実現しています。液体ヘリウムはマグネット内に密封され、クエンチによるヘリウムの外部排出を起こすことはなく、より安全に検査を行えることになります。また予期せぬ吸着事故が起こった際にもダウンタイムを最小限(約1日)に抑える事が可能です。

もう一つの特徴は、dStream(デジタルブロードバンドテクノロジー:デジタルコイル)とCompressed SENSE(パラレルイメージングと圧縮センシング技術の統合)による、高いSNRの取得と撮影時間延長を伴わない高分解能画像の取得を実現し、高い診断能を有した画像を提供します。

血管造影検査

血管内にカテーテルを挿入し、目的臓器まで持って行き造影剤を注入することで血管の異常を観察する検査です。血管をより観やすく撮影するためにDSA撮影(デジタル・サブトラクション・アンギオグラフィ)で行われます。造影剤の注入前後をX線撮影し、血管だけを観察することができます。また血管を観察するだけでなく、カテーテルを用いて治療を行う事が出来ます。これをカテーテル治療・血管内治療(IVR:interventional radiology)といいます。狭窄した血管を拡げる血管形成術、動脈瘤・腫瘍へ栄養している血管・出血している血管を塞ぐ血管内塞栓術、動脈を通して腫瘍などの病変に薬剤を注入する動注療法などがあります。

代表的な検査には心臓カテーテル検査があります。心臓の血管が細く狭くなっていないか・詰まっていないかなどを調べたりする検査です。異常があれば、狭くなった血管をバルーンで膨らませたり、ステントを入れたりなど血管内治療も行われています。

当院では2020年9月に最新の血管造影装置(PHILIPS 社製 Azurion7B20/12 インチ バイプレーンシステム)を導入しました。この装置は最大66% の被ばく低減を実現しながら、従来以上の高精細な診断画像を描出できます。最新機能である、デバイスの視認性を向上するステント強調処理機能や冠動脈リアルタイム動画ロードマップ機能を有しています。またバイプレーンシステムであることから1回の造影で2方向の撮影ができ、リアルタイム動画ロードマップ機能と併せて、追加撮影の減少、被ばく低減と造影剤使用量の低減を両立しています。これらの事から手技時間の短縮が実現でき、治療支援に大きく貢献しています。

左:ライブ透視画像

右:Dynamic Cardiac Roadmap

核医学検査

ガンマ線を放出する放射性核種を標識した放射性医薬品を人体に投与し、その薬が目的の臓器に集まった状態を体外よりガンマカメラで画像化する検査です。CT検査やMRI検査では主に臓器などの"形態"を観察していますが、核医学検査では臓器などの"機能"も観察しています。

当院では骨転移精査目的の骨シンチの検査が多く、乳癌や前立腺癌の症例に対してよく行われています。この他にも、Gaシンチ、甲状腺シンチ、副甲状腺シンチ、心筋シンチ、腎動態シンチ、腎静態シンチ、脳血流シンチなどが行われています。核医学検査で得られる機能画像とCT・MRIなどで得られる解剖学的な形態画像とのFusion画像も提供することできます。

マンモグラフィ撮影

マンモグラフィ撮影は、触診でも分からないような早期の小さな乳がんを、腫瘤影や非常に細かい石灰化の影として見つけることのできる検査です。この検査は、専用のマンモグラフィ装置で乳房を圧迫して撮影を行います。乳房を薄く広げることによって、より少ない線量で乳房の中が鮮明に見えるようになります。

当院では2018年5月に最新のFPD搭載型マンモグラフィ装置(富士フィルム製 AMULET Innovality)を導入しました。FPDの直接変換方式により、X線入射からの信号の劣化がなく高分解能画像が得られ、被曝線量低減に繋がります。フィルム以上の空間分解能とコントラスト分解能を有しています。今まで手動で行っていた、陽極の切り替え(圧迫後の厚み)、センサーの位置合わせ(乳腺の位置は勘である)などが自動になり、再撮影のリスクが抑えられ、一番重要な位置合わせに専念できます。また、最新の線量補正技術により、モリブデン陽極相当のコントラストをタングステン陽極で実現することにより、線量を低減しています。(モリブデンは、コントラストは高いが被曝も高い。タングステンは、被曝は少ないが、コントラストが悪い。)

一般撮影検査

X線撮影とはX線を用いて体内の情報を画像化する検査です。レントゲン検査と呼ばれる検査です。X線を人体に照射すると、骨や脂肪、血液、臓器など構造物によって減弱されます。その吸収差によって画像化します。ケガや病気を診断するために最初に行われる検査として用いられる場合が多い検査です。胸部や腹部の撮影の他、骨・関節を対象にした撮影も多く、頭部から指先足先まであらゆる部位の撮影を行います。撮影方法は各部位の骨・関節によって決まっており、骨折・骨腫瘍・骨の形状などを観察します。

当院では、2019年8月に最新のFPD搭載型X線撮影装置(富士フィルム製 BENEO-FX)を導入しました。それに伴い、撮影システムをCR(コンピューテッド・ラジオグラフィ)からFPD(フラットパネルディテクター)へと順次移行しています。FPDシステムの利点として、画像がほぼ撮影と同時に確認できるので、その効率性は以前のCRシステムとは比較になりません。特にオペ室などの緊急的なポータブル撮影においてその威力を発揮しており、撮影後瞬時にその場で画像を診る事が可能です。また、FPDシステムとiPadをワイヤレスで繋ぎ、介助が必要な撮影時でもその場のiPad上でFPDシステムを操作し、画像を確認する事も可能となっています。

X線透視検査

X線透視検査は食道・胃・大腸などの消化管の検査、各臓器の機能や形態の検査、手術後の狭窄や漏れの状態の確認など、造影剤を使用して検査を行います。検査と同時に治療を行う事もあります。整形外科系の骨折や脱臼等の整復も行われます。

主な検査に胃透視があります。造影剤(バリウム)を飲みながら、食道から胃の形状や粘膜の状態を観察する検査です。検査台の上で身体の向きを変えながら色々な方向から撮影をしていきます。

骨密度測定検査

骨密度測定にはX線を用いるMD法、DXA法、超音波を用いるQUS法などがありますが、当院では、誤差が少なく測定時間が短いDXA法で検査を行っています。DXA法ではエネルギーの異なる2種類のX線を照射し、骨の吸収差を利用して測定をします。検査時間はおよそ5~10分程度で、主に腰椎と大腿骨頸部を測定します。骨密度検査を行うことで骨密度を数値化し、基準値と比較することによって骨粗鬆症の進展具合、治療効果の経過観察を把握することができます。

主な装置

  • 一般撮影装置 4台
  • マンモグラフィ装置
  • パントモグラフィ装置
  • ポータブル撮影装置 5台
  • X線透視装置 2台
  • CT装置
  • MRI装置 2台
  • 血管撮影装置
  • ガンマカメラ(核医学検査)
  • 骨密度測定装置

保有資格・所属学会

保有資格

  • 第一種放射線取扱主任者
  • X線CT認定技師
  • 検診マンモグラフィ撮影技術認定
  • 検診マンモグラフィ撮影技術認定(精度管理認定)
  • 磁気共鳴専門技術者
  • 胃がん検診専門技師
  • 胃がんX線検診読影部門資格

所属学会

  • 日本消化器がん検診学会
  • 日本放射線技師会
  • 日本放射線技術学会