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産婦人科

特徴

当院は日本専門医機構認定産婦人科専門研修施設です。産婦人科医は5名で、その内3名が日本産科婦人科学会専門医です。また日本婦人科腫瘍学会専門医1名、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医1名、日本遺伝性腫瘍学会専門医1名、日本女性医学学会専門医1名が在籍しています。
当科では腹腔鏡下手術、婦人科腫瘍を中心に、産科・周産期医療、更年期外来、不妊症・内分泌疾患に対する診療を行っております。
2025年度より内視鏡技術認定医の着任により、これまで開腹手術で行っていた良性疾患の手術を低侵襲な腹腔鏡下手術で行うことが可能になりました。また2025年5月からは早期の子宮体癌に対する腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術の保険診療承認施設となりました。

学会の認定・指定施設

  • 日本専門医機構認定産婦人科専門研修施設
  • 日本婦人科腫瘍学会指定修練施設(B施設)
  • 日本周産期・新生児医学会 周産期母体・胎児専門医認定補完施設

代表的な疾病・治療対象(主な診療内容)

臨床像

子宮筋腫は女性ホルモンの影響によって発育する良性の腫瘍であり、一般的に性成熟期に増大します。婦人科腫瘍の中では最も多い疾患とされ、30歳以上の女性の20-30%にあるとされています。また小さな筋腫も含めると女性の77%にあるとされている頻度の高い良性腫瘍です。筋腫はその大きさ、できている部位により症状は様々です。筋腫が原因となる症状として、月経量の増加(過多月経、過長月経)と貧血、月経痛(月経困難症)や下腹部痛、膀胱の圧迫による頻尿(排尿障害)、便秘、子宮内腔の着床障害(不妊)など多岐に渡ります。

診断のための検査

問診で症状の有無を評価し、内診、超音波検査、MRI検査などを組み合わせて評価します。

内診

子宮の大きさや子宮の可動性、痛みの程度などを確認します。

超音波検査

筋腫のできている部位、大きさ、血流を確認します。

MRI検査

超音波検査よりも詳細にかつ他覚的に評価が可能です。悪性の肉腫との鑑別に有用な場合があります。必要時はMRI検査を提案します。

治療

無症状の子宮筋腫は定期的な経過観察で良いとされています。しかし、症状を伴う筋腫、巨大な筋腫、子宮肉腫を疑う場合、若年者の筋腫、不妊症の原因である可能性があるときは治療を要します。患者様の年齢、妊娠の希望、ライフスタイルに応じて治療方針を決定していきます。

ホルモン療法(偽閉経療法)

女性ホルモンを一時的に低下させ、子宮筋腫を縮小させる方法です。手術前に子宮筋腫を縮小させて手術の安全性を増したり、閉経前に行い、そのまま閉経に逃げ込むために行います。

筋腫核出術(腹腔鏡下手術、開腹手術)

筋腫のみを摘出し、正常な子宮を温存する方法です。子宮筋腫のできている部位や大きさ、今後の妊娠の希望により、核出の方法を選択します。

子宮摘出術(腹腔鏡下手術、開腹手術)

子宮筋腫の根本的な治療となります。筋腫を含めて子宮を摘出します。月経のある年齢の患者様で卵巣に病気のない方は卵巣を温存します。女性ホルモンの分泌が保たれるため更年期症状は出現しません。腹腔鏡で低侵襲な手術を提案します。

臨床像

子宮内膜症は疼痛と不妊を主徴とするエストロゲン依存性の慢性炎症性疾患で、性成熟期女性の約10%、不妊女性の約50%、骨盤痛女性の70%に認められるされています。子宮内膜症により月経困難症、慢性骨盤痛、性交時痛、不妊、排便痛、排尿痛、血尿、下血などの症状を呈することがあります。

卵巣子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)は卵巣や子宮、その周囲に内膜症が発生し、出血を繰り返すことで血液が貯留し嚢胞を形成します。破裂による痛みや周囲との癒着が生じたり、中には癌化することがあります。

子宮腺筋症は子宮筋層内に内膜組織が潜り込み出血が溜まることで子宮の壁が肥大します。子宮腺筋症により過多月経、月経困難症、骨盤痛、不妊症などの症状を呈します。

診断のための検査

問診で症状の有無を評価し、内診、超音波検査、MRI検査などを組み合わせて評価します。

内診

子宮の大きさや子宮の可動性、痛みの程度を確認します。

超音波検査

子宮の大きさ、周囲との癒着を確認します。また内膜症性嚢胞の大きさや場所、悪性を疑う所見がないかを確認します。

MRI検査

超音波検査よりも詳細にかつ他覚的に評価が可能です。腸管との癒着や腸管内膜症の検索なども行います。内膜症性嚢胞の大きさや場所、悪性を疑う所見がないかを確認します。必要時はMRI検査を提案します。

治療

ホルモン療法

黄体ホルモンや低用量ピルにより病状の進行を遅らせたり、腫瘍を縮小させます。排卵が止まるため、ホルモン治療中は妊娠ができなくなります。妊娠可能な年齢であればホルモン療法を中止すると排卵は再開し、妊娠のトライは可能です。

手術療法

若年の場合、腫大した腫瘍を摘出し正常卵巣を温存します。また腫瘍の周囲の癒着を剥離し、癒着による症状を緩和します。閉経前後の場合や悪性化が考えれる場合、癒着が高度の場合は卵巣を摘出することがあります。腹腔鏡で低侵襲な手術を提案します。

子宮腺筋症に対して子宮摘出術(腹腔鏡下手術)

子宮腺筋症の根本的な治療となります。子宮を摘出します。月経のある年齢の患者様で卵巣や腹腔内に病気のない方は卵巣の温存を考慮します。腹腔鏡で低侵襲な手術を提案します。

子宮腺筋症に対するミレーナR

子宮内に黄体ホルモンを長期間放出する器具を挿入し、子宮腺筋症の症状緩和をはかります。

臨床像

卵巣腫瘍は卵巣が腫れて大きくなったものです。無症状であったり、捻転や破裂により強烈な痛みを伴ったり、お腹が膨らんで圧迫感があったりと、多様な症状を呈します。症状がない場合でも、将来的に増大することで症状が出現することがあります。卵巣は月経周期に伴い形が変化するため、機能性嚢胞(卵胞、黄体嚢胞)との区別も重要です。また、卵巣腫瘍は良性、境界悪性、悪性(がん)に分類され、それぞれに複数の組織型(腫瘍の種類)が多岐に渡るため検査だけでは術前に診断が難しいことがあります。さまざまな検査を行い、適切な治療法を提案します。

診断のための検査

問診で症状の有無を評価し、内診、超音波検査、MRI検査、CT検査、血液検査(腫瘍マーカー)などを組み合わせて評価します。

内診

卵巣腫瘍の大きさや可動性などを確認します。

超音波検査

腫瘍が嚢胞なのか、充実成分なのかを評価します。大きさ、血流も確認します。

MRI検査

超音波検査よりも詳細にかつ他覚的に評価が可能です。卵巣腫瘍の良性悪性の鑑別、周囲臓器との癒着の程度を評価します。

治療

先に述べたように、現在症状がなくても将来増大することで症状が出現するため、サイズによっては手術を提案します。また、良性悪性の鑑別が難しい場合には診断確定のために手術が必要となります。サイズが小さく、良性と考えられる場合は経過観察も選択肢となります。

腹腔鏡手術

良性卵巣腫瘍が考えられる場合は腹腔鏡で卵巣腫瘍や卵巣を摘出します。卵巣腫瘍を摘出する場合は正常な卵巣や卵管の温存が可能です。

開腹手術

悪性腫瘍、境界悪性腫瘍が考えられる場合は開腹手術を行い、腹腔内に播種(ちらばっていないか)やリンパ節の腫大(リンパ節転移)がないかを丁寧に確認します。腫瘍側の卵巣卵管を摘出し、術中迅速病理検査(手術中に病理結果がわかる検査)に提出し、最終的な手術方法を決定します。

卵巣腫瘍の手術方法は年齢や妊孕性(症例妊娠を希望するかどうか)、推定される組織型(良悪性)により工夫が必要なため個々の症例に応じて選択する必要があります。

臨床像

骨盤臓器脱は骨盤内臓器の下垂や脱出と腟壁の弛緩や外翻の総称です。加齢を背景として生じ、出産や便秘などで踏ん張って腹圧がかかる状態(いきみ)が原因で生じます。症状として子宮の下垂感、腟の違和感、歩行時の違和感、股にものが挟まったような感覚、排尿障害(頻尿、残尿)や膀胱炎、不正性器出血を伴うことがあります。日常生活の質(QOL)が落ち、不快に感じることがあります。

診断のための検査

問診で症状を確認し、内診、超音波検査、MRI検査などを組み合わせて評価します。

内診

子宮の下垂や腟壁の弛緩の程度を確認します。

超音波検査

子宮や膀胱、卵巣の状態を確認します。

MRI検査

手術前の評価として子宮と周囲臓器との癒着の程度を評価します。

治療

手術療法

腟式あるいは腹腔鏡下に子宮を摘出し、腟の断端を仙骨子宮靭帯(骨盤の靭帯)に縫い付けて再発予防とします。また、過剰に伸展した腟壁を縫い縮め、膀胱の位置や腟壁を手術で矯正します。ペッサリーリングと比較して通院の必要がないことが利点です。まれに再発をきたし、再手術やリングを挿入することがあります。子宮がない方やご高齢の方は腟を閉鎖する手術を提案することがあります。

保存的加療

ペッサリーリングという個人に合ったサイズの柔らかいリングを腟内に挿入し、子宮や腟壁を生理的な位置に矯正します。排尿障害の改善が見られたり腟の違和感の改善に繋がります。欠点としてはリングが自然脱出やサイズの不適合による痛み、帯下(おりもの)の異常を伴うことがあります。状況に応じて手術療法を提案することがあります。

当院のお産について

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外来診療担当医表

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婦人科

午前
勝間 友延 友延 金子 友延
金子 勝間 金子 室本 勝間
室本 室本 鶴地 鶴地
鶴地

医師情報

卒業年次 平成22年卒
専門
  • 婦⼈科腫瘍・婦⼈科病理
資格等
  • ⽇本産科婦⼈科学会産婦⼈科専⾨医
  • ⽇本⼥性医学学会専⾨医
学会活動
  • ⽇本婦⼈科腫瘍学会
  • ⽇本産科婦⼈科内視鏡学会
  • ⽇本癌治療学会
  • ⽇本臨床細胞学会
  • 日本周産期・新生児医学会
卒業年次 平成27年卒
専門
  • 婦人科腫瘍
  • 鏡視下手術
  • 遺伝性腫瘍
資格等
  • 日本産科婦人科学会産婦人科専門医
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  • 日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医
  • 日本内視鏡外科学会技術認定医(産科・婦人科)
  • 日本遺伝性腫瘍学会遺伝性腫瘍専門医
学会活動
  • 日本産婦人科学会
  • 日本婦人科腫瘍学会
  • 日本産科婦人科内視鏡学会
  • 日本内視鏡外科学会
  • 日本遺伝性腫瘍学会
  • 日本臨床細胞学会
卒業年次 令和2年卒
専門
  • 産婦⼈科⼀般
学会活動
  • ⽇本産科婦⼈科学会
卒業年次 令和4年卒
専門
  • 産婦人科一般
学会活動
  • 日本産科婦人科学会
卒業年次 昭和59年卒
専門
  • 婦人科腫瘍
資格等
  • 日本産科婦人科学会専門医・指導医
  • 日本婦人科腫瘍学会専門医
  • 長崎県母体保護法指定医師
学会活動
  • 日本産婦人科学会
  • 日本産婦人科腫瘍学会