臨床工学技士(Clinical Engineer)とは
臨床工学技士とは昭和63年(1988年)臨床工学技士法に基づいて新設された国家資格で、医師の指示の下に人工呼吸器や人工透析装置、人工心肺装置など生命を維持するための装置を操作し、その保守と点検を行うことを業務としております。医療機器の進歩に伴い医学的・工学的な知識を持つ専門職が必要となったため作られた職種です。
当院の臨床工学科は平成17年(2005年)に設置されました。医師や看護師、コメディカルスタッフと共にチーム医療の一員として医療機器に関するサポートを行っております。
業務紹介
透析業務
月・水・金曜日は2クール、火・木・土曜日は1クールで行っています。火・木曜日の1クール後は機器の定期点検を実施しております。また、腹水濃縮再静注法、白血球除去療法、LDL吸着療法、血漿交換療法、ET吸着療法や持続血液濾過透析(CHDF)などを行っています。
高気圧酸素業務
高気圧酸素業務は治療装置内部を2気圧まで高め、毎分240ℓの酸素を流しながら60分間の治療を行います。加圧と減圧に約15分ずつ時間がかかる為、トータルすると1回の治療あたり90分程度の時間を要します。外科(腸閉塞)、整形外科(急性末梢血管障害・ガス壊疽)、耳鼻科(突発性難聴)、歯科(骨髄炎)、眼科(網膜動脈閉塞症)など、様々な診療科からの依頼を調整しつつ、定期点検と安全管理の重要性を充分に認識した上で治療に携わっております。
CE業務
ME室では、輸液・シリンジポンプ、人工呼吸器、低圧持続吸引器の貸し出し・返却等を一元管理しています。また、除細動器やAED、IABPの保守・点検業務を行っています。手術室の麻酔器点検やRFA(経皮的ラジオ波焼灼治療)の操作等にも携わっております。
今後のビジョン
近年、優れた医療機器が数多く導入され医療に貢献していますが、医療従事者の扱い間違いや整備不良による事故も多々発生しております。安全な治療には機器の定期的な点検が不可欠であるため、病院の基本方針でもある『地域社会に貢献し信頼される病院』を目指し、安全な医療機器の使用ができるような環境作りに日々邁進しております。その為に多職種と連携しながらスタッフ全員の技術の標準化を図り、技術向上に努め新しい知識の習得を目指しています。
当院では臨床工学技士4人で業務を行っていますが、マンパワー不足から他部署のサポートを受けている現状があります。昨今の高度化した医療機器への対応や病院内でのタスクシェアなど、臨床工学技士として求められている事を実現するため、人材基盤をさらに強化していきたいと考えております。
臨床工学科 技士長 西本 淳
保有資格・所属学会
- 公益社団法人日本生体医工学会 ME技術教育委員会 第1種ME技術認定士 1名
- 公益社団法人日本生体医工学会 ME技術教育委員会 第2種ME技術認定士 4名
- 公益財団法人医療機器センター 透析技術認定士 2名
- 日本臨床高気圧酸素・潜水医学会 臨床高気圧酸素治療操作技士 1名
- 日本臨床工学技士会
- 長崎県臨床工学技士会