特定看護師の特定行為の実施について
認定看護師 紹介
感染管理認定看護師は2001年に18名が誕生し、2016年11月現在の登録数は2564名と、21ある認定分野でも最も多い数になりました。近年、薬剤耐性菌保菌者の増加に伴い、感染対策の重要性が認知されてきたこともありますが、やはり2012年の診療報酬改定で感染防止対策加算が算定できるようになったことが大きな要因でしょう。
当院では2012年に「感染管理室」が設置され、感染対策を担当する医師・薬剤師・臨床検査技師・看護師が配置され、感染管理認定看護師は専従として活動しています。医療関連感染の発生の監視として各種サーベイランスや抗菌薬使用状況の確認、感染防止対策の実施状況確認や介入のためのラウンド、感染対策指導や研修の企画、感染症発生動向の情報提供、マニュアルの作成などを感染対策チーム(ICT:Infection Control Team)やICTリンクナースと共に行っています。感染症から守るのは患者さんだけではなく、職員やその家族もであり、職員は委託業者の方から病院管理者まで幅広く対応しなければいけないのも感染管理ならではといえます。
感染症を引き起こす菌やウイルスが肉眼で見えたなら、私たちが口を酸っぱくして「手指衛生」とか「環境清掃」って言わなくてもいいのかしらと妄想しつつ、繰り返し基本的な感染対策指導を行うことの大切さを実感しています。
わが国では、2025年に団塊の世代すべてが75歳を迎え、慢性疾患や複数の病気を抱えた患者さんが最大数になると言われています。超高齢化社会のいま、限られた医療資源で多くの高齢者を支えるため、チーム医療や在宅医療が推進されています。こうした背景から看護師へ社会的期待は高まっており、厚労省は2015年より特定行為研修制度を開始しました。この制度の効果として、看護師が患者さんの状態を見極めることで、迅速な対応が可能になることが挙げられています。特定行為研修を受けた看護師は、医師の判断を待たずに診療補助を実施できます。ここでいう特定行為とは、診療の補助であり、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされる38行為をいいます。
私は、2014年に皮膚・排泄ケア認定看護師の資格を取得し、2019年に特定行為に係る研修を修了致しました。現在は外科外来に所属し、一般診療の介助を行いながら、院内で特定行為を実践しております。当院の皮膚科は週1回の診療のため、これまでは慢性創傷のデブリードマンが週1回しか行えない状況でした。しかし、研修を修了して患者を様々な面からアセスメントし、包括指示に沿ってタイムリーにデブリードマンを実施することができるようになりました。定期的なデブリードマンを行うことで創部感染を起こさず、創傷治癒を促進できるようになりました。まだまだ技術的に未熟ですが、院内の先生方と一緒に患者さんのニーズに合わせて、創傷管理ができるように頑張っていきたいと思います。また今後は、在宅で創傷管理を行っている患者さんのお役に立てるよう、院外活動にも力を入れていきたいと思います。【現在行っている特定行為】 ・創傷管理関連 ・創部ドレーン管理関連 ・栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連
「皮膚・排泄ケア認定看護師」とは、皮膚のケアや排泄ケアに特化した看護師のことです。創傷(wound)・オストミー(ostomy)・失禁(continence)の英語の頭文字をとって「WOCナース」と呼ばれることも多いです。
現在、私は褥瘡管理者として院内の褥瘡対策、ストーマケアや排泄ケアを行っています。皮膚のトラブルや排泄の問題は、患者さんにとって深刻で、生活の質に直結する問題です。そして、人に知られたくない、見られたくない部分のケアとなります。そのため、私は、患者さんとご家族の思いや価値観、背景をくみ取ることを大切にしています。ストーマ外来では、患者さんは「こういう事を話せる人がいないからここに来ると安心する。」と言われます。話をきいて力になれる、そのような存在でありたいと思っています。今後は、この地域で看護や介護に携わっている方々と連携を強くして看護が継続できたらと思います。
スキンケアや排泄ケアについてのご相談は、「褥瘡管理室」までお気軽にお声をかけてください。
現在、病棟看護師から患者さんの緩和ケアに対する相談や、ご家族との関わりでの悩み相談を受けています。相談内容によっては、患者さんやそのご家族に直接お会いしてお話を伺い、緩和ケアに必要な内容は、病棟スタッフとカンファレンスを活用して情報共有しています。また、北館1階にがん患者さんを対象とした予約制の相談窓口「寄り道」を開設しています。患者さんがゆっくりとお話しができるよう、緑や光を多く取り入れたお部屋にしています。今後は、緩和ケアの質を高めるため、今以上にがん専門コースや卒後教育、病棟の分散教育など積極的に介入していきたいと思っています。
現在、抗がん剤治療は種類も増え複雑になってきました。化学療法を行っている患者さんに確実な薬剤投与・副作用の確認や日常生活のケアの説明などを行っています。また、患者さんが不安や疑問に思われていることに対して、話しやすい雰囲気作りや少しでも分かりやすいよう説明するように心がけています。外来でも、安全・安心して治療が受けられるよう、医師・薬剤師・各科看護師らと連携し治療のお手伝いをしたいと思っています。
集中ケアは主に生命の危機的状態にある重症かつ集中治療を必要とする患者さんと家族を対象とした看護です。現在は一般病棟に勤務しており集中治療が必要な患者さんはいませんが、生理的欲求に何らかの問題を生じて入院している患者さんが多くいます。生理的欲求は生きるために必要な「呼吸する」「食べる」「眠る」「排泄する」などです。
私は集中ケア認定看護師として、患者さんの情報を丁寧に収集することで治療効果の評価と異常の早期発見に努めています。さらに、自分の知識や考え方をスタッフと共有し、患者さんの生理的欲求の充足と入院生活を支えています。そして、私たち看護師は日常生活援助者であり、清拭一つ、吸引一つにおいても回復を促すためケアとして安全安楽を提供できるよう個々の患者さんに応じた看護を発信できる存在でありたいと思っています。
私は2008年から当院で看護師として従事しています。新人の時に、急変した患者さんに対し何もできなかった経験から急性期看護を学びたいと考えました。あの時、病室の前で呆然と立ち尽くすご家族の表情は今でも忘れることができず、現在でも学びの原動力となっています。その後諸先輩方の指導の甲斐あって2015年に集中ケア認定看護師資格の取得に至りました。
集中ケア認定看護師は生命の危機状態にある患者さんとご家族に対して専門的な知識を基に看護を提供する実践、看護実践を通して看護職に対する指導、看護職などに対しコンサルテーションを行う相談を役割としています。現在は特定集中治療室で患者さんの呼吸・循環管理、栄養管理、疼痛コントロール、早期離床、倫理的問題への対応を他職種と協力して行っています。提供する看護に悩むこともありますが、生命の危機状態にあった患者さんが元気に集中治療室を退室する姿は、他職種協力の賜であり、何ものにも代えがたい喜びです。今後とも特定行為研修をはじめとした自己研鑽に努め、質の高い看護を提供したいと考えています。
私は、20年以上前から呼吸障害により人工呼吸器を装着した患者さんの管理に携わって来ました。臨床の場で実践している行為の殆どは、経験値に基づいたものでした。人工呼吸器の取り扱いは医行為です。医師からの許可は得ているものの法律と実臨床との乖離に抵抗と不安を感じながら業務に取り組んでいました。そのような中、2015年10月、保健師助産師看護師法に位置づけられた特定行為に係る看護師の研修制度が新たに創設されました。資格制度が創設され、自分自身の行う行為の保証と改めて学び直すことによる知識の向上のために研修の受講は必須であると考えました。
2019年、家族と病院の協力を得て自治医科大学看護師特定行為研修センターで看護師特定行為研修を受講しました。研修では臨床における実践研修に重きを置き、多くの症例を通して様々な経験を積むことが出来ました。1年間という短い研修期間でしたが、その学びが現在の特定看護師としての活動に大きく生かされているように思います。
昨年、1年間で行った特定行為は約600件(人工呼吸関連224件長期人工呼吸療法関連5件動脈血液ガス関連312件栄養及び水分補正管理関連54件)主に救急外来と特定集中治療室で活動を行いました。救急外来では初めて来院される患者さんも多く、既往症などが明らかではない中で対応する場合もあります。実際に動脈穿刺等の特定行為を実施して良いのか手順書に照らし合わせ、時には実施しない判断を行う場合もありました。また特定集中治療室では、人工呼吸器離脱訓練中の患者さんについて、レントゲンや検査データの結果から医師へ訓練の変更や中断、抜管延期の申し出を行ったこともあります。
特定行為は診療の補助であり、看護師が手順書に基づいて特定行為を行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力を求められます。同時に高度かつ専門的な知識及び技能も必要です。これからも自己研鑽に励み、看護の専門性を活かしながら医師と同等の特定行為を安全に実践することにより、患者さんの重症化回避や早期回復のために尽力して行きたいと思います。
特定行為区分:呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連動脈血液ガス分析関連栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連
2015年に救急看護認定看護師資格を取得し、現在、集中治療室で勤務しながら救急外来も行っています。救急看護は時や場所を選ばず、対象も様々です。緊急度を判断し、患者さんの病態を悪化させないような看護を提供することが重要です。主な活動としては院内で急変事例を減少させるため、病棟への急変前看護の学習会を企画し実施しています。また、長崎救急看護認定看護師会として地域の救急医療の充実を目標に年3回以上、県内でセミナーを企画し開催させてもらっています。
みなさん、昨日の晩ご飯は何を食べましたか?
メニューを思い出せる人も、思い出せない人もいらっしゃると思います。しかし、「晩ご飯を食べた記憶がない」人はいないのではないでしょうか?もし、記憶がなくなっていたら不安になりませんか?
記憶がなくなった人でも、安心できる環境で、笑顔で過ごせるようサポートすることが認知症ケアの目的です。その中で私が大切にしていることは「ニーズの発見と充足」、「安心の提供」です。認知症ケアでは、認知症において一般的に言われる『問題行動』は、満たされていないニーズを、患者さんご自身で解決しようとした『結果』であり、その行動には必ず意味があると考えます。その『結果』から、何が満たされていないニーズなのかを発見し、充足するようサポートすることによって、少しでも問題行動を減らすことができれば、患者さんとご家族がより安心でき、笑顔で過ごせることに繋がるのです。
少しでも多くの患者さんとご家族に「安心の提供」ができるよう、認知症の知識や困ったときの対応方法をお伝えする活動をしていますので、ご用命の際は遠慮なくご相談ください。
私は、2018 年に認定看護管理者の資格を取得しました。看護部の理念である「地域の人々に信頼される質の高い温かな看護を提供する」ことを念頭に、自身の管理する業務の課題を明らかにし看護サービスの提供体制の向上に向けて取り組んでいます。認定看護管理者として自施設だけではなく、院外の認定看護管理者や多職種の方々と連携し地域全体の医療・看護の質向上となるような活動をしていきたいと思います。