整形外科の腫瘍(骨軟部腫瘍)
骨腫瘍と軟部腫瘍
骨の中にできたり、骨から外に膨らんでできるのが骨腫瘍です。骨と皮膚の間の、筋肉や血管、神経などにできるのが軟部腫瘍です。骨腫瘍は20種類以上、軟部腫瘍は40種類以上あると言われています。
全国的な骨軟部腫瘍の登録制度があり、骨腫瘍は良性・悪性あわせて1年間に約1,400例、軟部腫瘍は約4,700例登録されています。がんを発症される患者さんが年に約100万人いらっしゃることを考えると、骨軟部腫瘍の発生数がいかに少ないかが分かります。(ちなみに、悪性骨腫瘍の中でも有名な骨肉腫は、年間約200例の登録があり、日本の人口およそ60万人に1人の発症という計算になります。)
骨腫瘍でよく診るものとして、お子さんにできる良性のもの(外骨腫、遠位大腿骨骨皮質不整像、単純性骨嚢腫など(図1~3)と、中年〜高齢の方の転移性骨腫瘍(図4)があります。レントゲン、CT、MRIなどで診断します。前者は良性の可能性が高ければ、サイズが大きくならないか、良性に見えて実は悪性ではないか、1年に数回のレントゲンによるチェックを行います。痛みが生じたり、病的骨折を起こす可能性があるものは、夏休みなどを利用して手術を行います。後者は、がんの骨転移のことで、どこのがんから転移したかを診断した上で、がんを治療するメインの科と一緒に治療を行っていきます。
軟部腫瘍は、脂肪腫、血管腫、神経鞘腫、ガングリオン、粉瘤などといった良性のものが多数を占め、腫瘍ではない血腫(たんこぶ)などのこともあります。レントゲンでは映らないことが多く、エコーやMRIなどで診断します。腫瘍が機能に影響を及ぼさず、ご本人に手術の希望がなければ、年に数回のエコーによるサイズチェックで様子を見ることが多いです。軟部腫瘍における悪性腫瘍の割合は相当低いですが、悪性腫瘍が見つかった場合は手術が必要となります。
整形外科には体の一部が痛い、腫れるなどで受診することが多いと思いますが、その中で原因が腫瘍である頻度は決して高くありません。ですが、痛みが長引く場合や、原因がはっきりしない場合は、「腫瘍の可能性はないかな?」と考え、レントゲンやMRIを撮るなどして、主治医の先生に確かめて頂くのも良いかもしれません。
<図表>
図1 外骨腫 成長軟骨が正常と異なる場所で発育するもの
成長が終わるとこれも拡大が止まります
痛みを伴うものは切除します
図2 遠位大腿骨骨皮質不整像 小児の膝で高頻度に見られる良性のもの
多くは成長するにつれ、自然に消えます
図3 単純性骨嚢腫 成長軟骨に近く、成長障害を生じる可能性があるものは手術します
成長と共に成長軟骨から離れていき、手術の必要性が減ります
図4 転移性骨腫瘍 高齢男性の肝臓がんに伴うもの。病的骨折を生じ、骨接合手術を行いました