変形性膝関節症(中高年の膝の痛み)について
骨変形性膝関節症とは
変形性膝関節症は中高年女性を中心に日本国内だけで推定2500万人がかかっているといわれており、膝の関節の軟骨の質が低下し、少しずつすり減り、歩行時に膝の痛みが出現する病気です。変形が進行すると痛みの増悪とともに、徐々にO脚が進行します。変形性膝関節症の診断はX線撮影で可能で、関節の隙間や骨の変形の程度で病気分類されます(図1)。一般的に変形が高度であればあるほど痛みが強く、O脚が目立ちます。
図1 X線での変形性膝関節症の病気分類
(出典:ジョンソンアンドジョンソン株式会社)
治療法
変形性膝関節症の治療は大きく分けて保存療法と手術療法の2つがあります。保存療法にはリハビリテーション、装具療法、薬物療法などがあり、これらを組み合わせて行われます。手術療法は保存療法で効果が得られない場合に選択されます。
保存療法
-日常生活指導-
正座、長時間、階段昇降等の痛みを生じる動作をできるだけ控えたり、痛みが強いときは杖などを使用して膝にかかる負担を軽くします。膝にかかる負担を一番減らす方法は減量です。体重の5%を減量することで手術と同等の効果が期待できます。
-薬物療法-
消炎鎮痛剤(痛み止め)の内服や外用剤(湿布や塗り薬)を使用します。また、膝関節内にヒアルロン酸の注射(関節軟骨の保護作用目的)を組み合わせたりします。
-理学・装具療法-
大腿四頭筋(太ももの前面の筋肉)の筋力アップを目的に運動療法を行ったり、足底板や膝のサポーターを使用し膝関節にかかる負担を軽減します。
手術療法
-関節鏡視下手術-
関節鏡で観察しながら、変性した半月板や軟骨に対して処置を加えます(図2)。傷も小さく手術後数日で歩行、退院可能で早期社会復帰できます。しかし、効果の持続性が短く、病期が進行した例では適応外です。
図2 関節鏡のイメージと実際の画像所見
-骨切り術-
O脚変形のために内側に偏った過重なストレスを、自分の骨を切り、少し角度を変えることにより、比較的きれいな軟骨の存在する外側に移動させる手術です(図3)。脚の形はO脚からややX脚に変わります。関節を温存できるため、正座が可能で、スポーツや農業などの仕事へ復帰できます。
図3 骨切り術のイメージ
(出典:オリンパステルモバイオマテリアル)
-人工関節単顆置換術(UKA)-
変形が内側or外側と片方のみの場合に適応となります。通常の人工関節よりも低侵襲で、術後の回復や可動域の改善が早く、満足度が高い手術になります。ただし長期成績は通常の人工関節より劣る可能性があるため、手術適応にはいくつかの条件があります。
図4 UKAのイメージ
(出典:Kyocera Corporation)
-人工関節全置換術(TKA)-
変形性膝関節症に対する最終的な治療法です。膝の痛みで歩行できなかった方の多くが術後に痛みが改善し歩けるようになります。術後の可動域は術前の状態次第ですが110~130度を目標とします。耐久年数は15年~25年程度で、術後は膝に負担がかかる運動はできるだけ控えてもらいます。
図5 TKAのイメージ
(出典:Kyocera Corporation)
今回は中高年の膝の痛みの中でも一番多い疾患である変形性膝関節症について解説しました。年を取ると膝が痛くなるのは当たり前と思ってそのまま過ごしていると、早い段階であれば保存治療でも十分な除痛が期待できますが、ひどくなればやはり手術が必要になります。
人生100年といわれるこの時代に、自分の足で歩ける期間を少しでも長くするためにも、表に該当する症状のある方は、是非一度、整形外科への受診をおすすめします。そして、当院では保存治療や手術など、患者さんのニーズに合わせた治療を行っておりますので、膝の痛みの改善が得られない方は、是非当科外来を受診ください。